九州大学法学部 2013年度後期

憲法Ⅰ【憲法総論・統治機構論】/前半

受講者による講義風景リポート集

 

  その日その日の講義を聴講して感じたことなどを自由に書き、南野までメールで送ってください。その日の講義がどのようなものであったか、その風景があわせて描写されているととても嬉しいです。より良い講義の実現のため、大いに参考にします。

  原則として、南野宛にメールで寄せられたリポートをそのまま掲載するつもりですが、明らかな誤字・脱字等については適宜訂正する場合があります。また Web 上での公開にふさわしくないと南野が判断した場合には、掲載しないこともあります。なお、後者の場合には、リポート送付者に対して南野からメールでその旨を連絡します。

  リポートの送付(投稿)は本名でもペンネームでも構いませんが、本名とペンネームの二重使用やペンネームの中途変更、さらに他人のペンネームと同じものや酷似したものの使用は避けてください。学部・学年などの情報も記載してください。なお、個々のリポートに対して南野が応答することは出来ませんが、必要に応じて、講義の場でコメントすることがあります

  あらためて言うまでもなく、リポートの内容が投稿者の成績評価に影響を及ぼすことはありません。

更新:2014年2月6日

 

   

 

 

 

 

第1回(2013年10月4日・金)

投稿者1:acrophobe(法学部1年) 

 今回は夏休みが明けて最初の専攻日でしたが、約二か月という長い休暇を通して気が緩んでしまった私に活を入れていただいた授業でした。主な内容はこれからの授業についてのガイダンス、そして夏休みの間に押さえておくべきであったニュースや判決、決定などについてのお話でした。私は、非嫡出子の相続格差に関する違憲決定など流れは知っていたものの、詳しい背景などを調べるまでには至っておらず、もっと日々アンテナを張って自主的な勉強をしなければならない と痛感しました。

 また、レジュメを使用しない授業をする意図についての説明もしていただきました。私は前期から南野先生の授業のやり方が好きだったので、自分で大切なことを判断して書き留める方式の授業に賛成です。自ら学ぶ姿勢を崩さないようにしていきたいと考えています。

 授業の中でロースクールや予備試験についてのお話もありました。ロースクールを目指している私にとって非常に大切な内容であり、長い文章を苦なく読むことができる力をつけるために努力しようと決意しました。

 蛇足かもしれませんが、先生の経験談の中でカナダ人の方に対する心象が私と似ていたのでとても嬉しかったです。私の知り合いにカナダ出身の人がいるのですが、第二次世界大戦や原爆について中立的な考えを示していて、やはり多国籍化するカナダの国民性が表れているのだろうかと今回の授業を通して考えていました。
投稿者2:silicon(法学部1年) 

 前期に引き続き、気の引き締まる授業をありがとうございました。半年前から思っていたことではありますが、南野先生の授業ほど、寝られない授業、寝たくない授業はありません。やはりそれは、先生が話される内容もさることながら、先生の方針に基づいた授業スタイルに因るところが大きいです。レジュメのない授業によってこそ、耳からの情報に全神経を傾ける集中力、得た情報から取捨選択する判断力、判断や書き取りの作業を素早く行う処理能力を身に付けることができると思います。

 先生の飽きさせない話術にも感心しますが、これだけの緊張感を持って受けられる授業も珍しく、楽しいです。高校時代までの受け身の勉強スタイルを卒業し、この専攻教育以外の学習においても自主性・積極性のある姿勢を維持・確立するために、この時間を、意識向上の契機として活かしていきたいと考えています。

 また、これも前期から先生がおっしゃっていることですが、論文や本を読むべきだというお話は、何度聞いてもその通りだと思い改めます。確かに多くの先生方や先輩方が、今のうちに良質な文章をたくさん読むべきだとアドバイスをくださるのですが、なかなか読書に割く時間を取れないのが悩みです。まずは授業中におすすめされた本や論文から、こまめに消化していくことを習慣化していこうと思います。

 次回の講義では、大学時代にカナダ人の方と恋に落ちたというくだりをもっと詳しく聞きたいです(笑)。
投稿者3:steamer(法学部1年)

 長い夏休みですっかり堕落しきってしまった自分にとって、現実を直視するきっかけとなる講義でした。改めて、自分の知識のなさや意識の低さを痛感しました。例えば、先生がおっしゃっていた判決の内容の一部しか把握できておらず、恥ずかしい限りでした。

 やはり、ノートづくりのお話には感銘を受けました。自分は、先生の語る内容をメモできるレジュメやノートがあると理解しやすいなと思っていたのですが、主体的に何かを学ぶ姿勢を欠いていたことに気付き、ここに自分の飛躍の余地があると実感しました。これを機に、予習・復習を丁寧に行います。

回の選択に戻る

 

 

 

第2回(2013年10月11日・金)

投稿者1:appletea(法学部1年) 

 講義ありがとうございました。私は、失礼ながら、法学入門の時は南野先生の講義があまり好きになれませんでした。理由は多数ありましたが、中でも講義内容に関係ない話、特に講義内容とはあまり関係性が見いだせないようなものに対する批判、が多かったことが大きな要因としてありました。しかしながら、憲法Ⅰに入ってからの講義は、拝聴していてとても面白いものであり、憲法の講義を受けているという実感をわかせてくれるものでした。きっとこの先の南野先生の憲法Ⅰの講義も面白いものであると予感させてくれるような2回の講義でした。私見ではありますが、これからもこのような講義を南野先生にはなさっていただきたいです。  

 話は変わりますが、私は法学部の時間割を見たときに、統治機構論から講義を行う理由がわかりませんでした。なぜなら、憲法とは、国民の人権を守るためにつくられたものだと思っていたからです。本質から講義するのが妥当ではないのか、そのように考えていました。しかし、今回の講義を拝聴して、その理由がわかりました。本質を理解するには、国のかたちを決定づけている統治機構のしっかりとした理解が必要なのだ、とそのように私は解釈させていただきました。

 統治機構論から講義を行う理由もよくわかり、これからは今まで以上に、南野先生の授業に期待しています。復習を丁寧に行い、次回の授業に臨むので、次回も興味深い講義をよろしくお願いします。
投稿者2:acrophobe(法学部1年)   #005 

 今回いよいよ本格的な授業が始まりました。

 南野先生の所謂「与太話」の中では大学受験改革や文科省の話が出て、日ごろどのような視点からニュースを考えるかが大切だと感じました。また、統治機構論から学ぶ理由の説明の際に在特会の例が示されました。以前からよく名前やその行動が話題にのぼる団体ですが、 表現の自由との関係を考えるときには憲法の制度自体を学んでいる必要があるのだと知り、これからの学びを通して様々な社会問題を考えることができるのも憲法を学ぶ楽しさではないかと思いました。

 授業の内容では、「憲法」や「立憲主義」という言葉の意味などを学びましたが、特に「憲法」の法源は考えたことがなかったので非常に興味深かったです。次回の授業もよろしくお願いします。

回の選択に戻る

 

 

 

第3回(2013年10月18日・金)

投稿者1:acrophobe(法学部1年) 

 今回は主に憲法の法源と日本憲法史についての講義でした。民法や刑法の特別法優先と比較して憲法では実質的憲法の中でも形式的憲法が常に優先するという効力の差を学びました。民法の例の中で「グレーゾーン金利」の話が挙げられていて、身の回りのニュースも法学に繋がっていることを再認識しました。

 次に、 違憲審査の根拠・基準としての憲法の法源ですが、私は講義中すぐに理解することができなかったので今現在復習中です。樋口先生の『憲法』や南野先生の『憲法学の世界』『ブリッジブック』を広げまくっていて机の上がすごい状態ですが…(笑)

 そして日本国憲法史では、オランダ語から英語への移り変わりや明治政府の下での所謂お雇い外国人、更には日本人の識字率の高さなど、憲法の背景という視点から歴史を学ぶのも興味深かったです(その際に先生が埼玉県沖とおっしゃったように聞こえて「ん?」となりました(笑))。  

 憲法Ⅰの講義はとても刺激的で楽しんで受講しています。次回の講義もよろし くお願いします。
投稿者2:silicon(法学部1年) 

 未だに無我夢中で話を聞いてとにかくノートを取っている状態ですが、印象に残った部分について感想を書かせていただきたいと思います。  

 最高裁の判断が有権解釈として大きな影響を持つ話が興味深かったです。今までいくつかの授業で聞いていた内容ではありますが、形式的意味の憲法だけではカバーしきれない部分や時代に合わなくなってきている部分を、法としての秩序を保ったまま解決する手法として、その内容も含め大変有効で的確だと毎回感動を新たにします。今回先生が例に出された解釈は利息制限法にまつわるもので、身近にありえそうなトラブルが話題として挙がっていたので、より興味を持って聞くことができました。  

 これも解釈に関連することですが、結社の自由を保障するため、1901年法を持ち出して結社の自由の侵害を違憲とするというフランスのお話には感心しました。ここまで強引なやり方が通じるというのにも少々驚きです。法は、形式的に定められてはいますが、その解釈・運用は、法を扱う側の人間・集団のモラルや意識に強く依存している不安定さがまだあるなと感じました。一方で、その不安定さが時代に適合する柔軟さであり、必要な要素であるように思いました。  

 少ししか聞けず残念だったのですが、憲法慣習のお話が個人的に1番面白かったです。法律学的な視点ではないのですが、この憲法慣習にこそ、地域性や国民性、その集団にとっての美徳や文化が表れていると感じ、もっと勉強してみたいと思いました。  

 今後は日本憲法史に入っていくそうで…。歴史が苦手な私には気が重いですが、だからこそより積極的な気持ちで授業に臨みたいです。

回の選択に戻る

 

 

 

第4回(2013年10月25日・金)

投稿者1:acrophobe(法学部1年) 

 今回の講義は、雨のせいか普段より受講者が少なかったように思います。講義内容に入る前に講義風景リポートについてのお話があったのですが、ちょうど silicon さんの隣に座っていたので二人で笑ってしまいました。私も他の方が書いたリポートを読みたいのでぜひより多くの人に送ってほしいと思います(笑)。

 また、非嫡出子の法定相続分規定の違憲判決の話題の中で、違憲であればすなわち条文が削除されるわけではないというお話もありました。このお話を聞くと、 ある法律に最高裁判所が違憲無効判決(法令違憲)を下したときに、その法令は当該事件においてのみ効力を失うという個別的効力説も頷けると感じました。しかしながら、条文がすぐに削除されなかった尊属殺重罰規定違憲判決でさえ他の訴訟の罪名が普通殺人に切り替えられるなどしているため、個別的効力説だけでは説明がつかず、かといって一般的効力説でも説明できないように思えて、非常に難しい問題ではないかと感じました。今の私の力ではここまで考えるので精いっぱいですが、先生の「雑談」にはこのように考えさせるポイントが多くありとても勉強になると思っています。

 講義では日本の憲法史について学びました。近代立憲主義の確立と崩壊ともにキーパーソンが美濃部達吉でその天皇機関説が重要であるとのことですが、立憲学派と神権学派の二極化の部分が非常に面白かったです。当時民衆と知識人の思想にここまでの差があったとは思ってもみませんでした。また、天皇機関説事件後の言論に対するテロが起こる軍靴の時代への突入は、思想などに対する国家の介入を引き起こしてしまいましたが、これは「法律の留保」という文言にも起因するものであると考えます。時代によって運用が変わってしまった帝国憲法はやはり改正が必要であったように思いました。

 最後に参考文献の民法起草委員三人についての記事を読みましたが、読み物と しても面白かったですし、人物の背景を知ることで歴史を学ぶ楽しさにも繋がると思うのでおすすめです。
投稿者2:silicon(法学部1年) 

 acrophobe さんが言っている通り、悪天候のせいか人が少なく、広い大講義室を余計寂しく感じました。講義風景リポートの話題が出た際は2人で笑ってしまったと記述がある通りですが、silicon の名前が出たときに少し会場が沸いたのを先生は不思議に思われたのではないでしょうか。あれは「シリコン」が私のクラスの最先端流行ワードだからです。是非多用してください。  

 嫡出子・非嫡出子間の差別に関する違憲判決についても話が及びました。ちょうど講義の前日くらいに新聞で西田参院議員「憲法がムチャクチャだからこういう判断が出る」発言や小島衆院議員の「なぜ最高裁が言ったら変えなければいけないのか」発言を読み、憲法に規定された平等の原則や違憲審査の意義を全く介さないその考え方や、そういったコメントが選ばれし国会議員・相対的に大きな発言権を持つ有識者によって為されたということに、いささか憤慨していました。しかしそれらの問題発言を、先生が一刀両断してくださって気持ち良かったです。

 今回は主に日本の憲法史のお話が主だったので、苦手な歴史に苦戦を強いられましたが、憲法という一つの軸に沿って歴史を学ぶ観点は、今までの学習には無かったもので、新鮮な印象を受けました。個人的に立憲学派と神権学派の対立に関するお話が面白かったです。まず国家を法人と捉え、代理人の意思と被代理人の意思がイコールであることを前提に据える。そしてその無数の国家機関の中のトップに天皇を"機関"として位置づけることでその地位を限定し、議会の地位をできるだけ高める。こうして立憲主義が成立する、という美濃部達吉の示した展開には感心しました。神権学派の、日本独自の法運営を重んじていく姿勢も時には大事だと思いますし、天皇を"機関"と見なすことに反逆の意を感じ取ってしまう方々がいるのも理解できますが、既存の法解釈・運用、つまり西洋諸国で実際に成り立っている基本原則を参照するというのは実に合理的で賢いやり方だと思いました。

 今回の講義で扱われていた内容と関連する部分を、樋口先生の書籍で読んでみると頭が整理されました。やはり耳で聞いた情報だけで完全に理解するのは無理があったようです。事前に予習ができればある程度のアウトラインをつかんでから講義を受けられるとは思いますが、政治学原論の課題がそれを許してくれないのが悩みです(笑)。
投稿者3:steamer(法学部1年)

 集団的自衛権の行使を容認するか否かや一票の格差に関する問題などの社会情勢について自発的に考えていくことが大切であると感じました。インターネットや新聞などで見かけた際には、その概要を掴むだけでなく、問題意識を持って自分なりに考えていきたいと思います。

 また、自分も違憲であればすなわち条文が削除されるわけではないということには驚きました。 上の方ほど考えが至らず、再び自分の見識の狭さを痛感することになりましたが、先生のお話はためになることが多く、毎回楽しみにしております。次回も是非お願いします。

 講義では前回に引き続き日本の憲法史を学習しました。ようやく先生の講義スタイルに慣れてきたのか、有意義な時間を過ごすことができました。自分の興味の対象が日本の歴史にあるためか、ああいう事柄があったななどと思いながら、楽しんでいました。これまでに知らなかったことも数多く、歴史の新たな一面を知った気がしました。

回の選択に戻る

 

 

 

第5回(2013年11月1日・金)

投稿者1:昼行燈(人間環境学府博士後期課程3年)

 初めてリポートを書かせて頂きます。どうぞよろしくお願いいたします。

 頭にパスタをのっけている(ツイッターのことです)けれども、著書は読みごたえがあって、講義はためになる、という友人の評判を聞き、専門外で学年も受けていらっしゃる方からするとかなり開きがありますが、聴講させて頂きました。このリポートのシステムも、南野先生にとっては今後の講義への参考に、リポートを書く者にとっては講義内容や考えの整理に、読む者にとっては先生の講義風景が読み取れるといったWin – Win – Win なものだなと感激し、筆をとった次第です。

 肝心のリポートですが、一言で言うと、「イケメンシャンソン歌手のディナー(?)ショーを堪能した」といった感じです。冗談っぽく聞こえますが、よく練られた構成と先生のご専門に対する熱意、学生の皆さんへのメッセージ、そして所々に散らされたちょっとしたユーモアが、90分の講義を「ショー」にならしめていたと思います。都合上、他大学で「憲法」を受講した私からすると、九州大学の学生の皆さんが一年次からあんな講義を取れて大変羨ましいです。

 講義内容につきましては、門外漢の私よりも、他の方々がしっかり書かれると思いますので、省略させて頂きます。あ、あと、先生が着ていらっしゃった緑色のシャツがお似合いでした! リポートは以上です。長文失礼いたしました。
投稿者2:Buzz(法学部2年) 

 受講している講義が休講だったので、久々に憲法Ⅰを受講してみました。最後尾に座っていたのですが、まず驚いたのは前列中央にも学生がぎっしり座っていたことです。自分達の学年のときはすっぽり空いていたような… でもまだ後期が始まって1か月程度ですからね。この状態のまま来年の前期末を迎えられますように。

 南野先生の講義は相変わらず板書がほとんど無く、ノートを取るのに苦労しました。でも、大学の講義らしくて好きです。教科書で復習するなど、自ずと能動的になりますからね。ただ、全部の講義がこれだとちょっときついですが (笑) 。 

 さて、講義の内容ですが、終戦から日本国憲法制定までの歴史だったので、飛び入りでも抵抗なく話を聞くことが出来ました。バーンズ回答の「be subject to」をなぜ「制限の下に」と訳したのかが再び気になりました。戦争を終結させるための訳だったのでしょうか。そして、松本委員会のあまりにも保守的な改正草案。果たしてこれは委員の国際感覚のずれ(この程度の改正で乗り越えられる)によるものなのか、という疑問も湧きました。今度関連書籍を読んでみたいと思います。最後に、八月革命説と「押し付け憲法論」の話をされていました。    

 最後に、拙い文章になって申し訳ありません。やはり、講義風景リポートを書くのは難しいですね。これからもたまに憲法Ⅰの講義を受講したいと思います。
投稿者3:acrophobe(法学部1年)

 今回の講義では冒頭で、山本太郎議員の園遊会手紙事件や五日市憲法に対する皇后の言及など天皇家に関する話題が多く取り上げられました。この天皇の政治利用についてのお話によって、その後に続く昭和天皇の戦争責任から始まる日本の憲法史の講義内容に入りやすくなり、集中して講義を受けることができました。  

 ポツダム宣言受諾後の日本政府の国体護持最優先の考え方や極東委員会との兼ね合いから憲法改正を急ぐGHQの動きは、敗戦国日本とそれを取り巻く複雑な関係性を感じさせて憲法の歴史を学ぶ上で非常に興味深いものだと思いました。また、憲法問題調査会で顧問を務めた美濃部達吉が「天皇機関説」によって大日本帝国憲法下でも民主主義の政治は実現可能だとして憲法改正に反対したというのは、先週の授業に引き続き美濃部達吉の信念の強さに感嘆するほかありません。 さらに、民政局に所属したベアテ・シロタ・ゴードンについては以前に男女平等を日本国憲法草案に盛り込んだ人として、何かの記事もしくは番組で取り上げら れていたのを思い出しました。彼女の尽力がなくては、今の憲法24条は成り立たなかったと考えます(憲法24条については、現在、その「両性」や「夫婦」という文言から同性婚を認めないものであるとの議論がありますが、少なくとも当時の立法目的は「イエ制度」で虐げられてきた女性を救うことであり、同性婚を認めないものであるという解釈は少し行き過ぎではないかと個人的に考えています)。

 「押しつけ憲法」論についての南野先生の見解は納得がいくもので、それまでただ何となく「押しつけ憲法ではないのではないか。」と考えていた私には目からうろこでした。「押しつけ」という言葉のマイナスイメージにとらわれるのでは なく、その真の意味を考えることが重要だと思いました。また、「改正限界説」 による「日本国憲法無効論」とそれに対する「八月革命説」も講義で学びました。主権の所在の移行を法的意味の革命とみなす「八月革命説」は非常に合理的だと思いますが、そういった認識が当時の日本政府や国民にあったのか、なかったとしたらそれでもこの説は成立できるのかというのが気になりました。

 余談になりますが、ある番組のテーマが民間検閲局(CCD)で、その中で天皇制の賛否などを調査していたと取り上げられており、今回の講義後でしたので歴史的背景などが分かり、より理解が深まったように思います。今後ともよろしく お願いします。

 追伸:今回、先に提出なさった先輩方のリポートを読むことができてうれしかったです!
投稿者4:silicon(法学部1年) 

 「天皇」に関する自分の知識や認識の甘さを感じる講義でした。最近は、山本太郎議員の園遊会での行為が連日ニュースに取り上げられており、表現が不謹慎かも知れませんが、ちょうど「天皇」に対して興味を持ったタイミングで講義があって良かったです。それにしても、義務教育・高校教育を受けてきて、実際に象徴天皇制を取っている国に暮らしながら、天皇に関してここまで自分にとって新しい知識があるとは想定外でした。特に、即位時に天皇が「皆さんと共に日本国憲法を守り」という表現を含む声明を出したことに対して、(先生ご自身の見解なのか否か聞き落としましたが)天皇は憲法を守る守らないの自由すら無い、とおっしゃっていたことが印象的でした。

 これに関連して、天皇・皇族を国民として認めるのか、天皇と国政の隔離を確保するために国事行為などをどのように解釈するのか、といった点について樋口先生の『憲法』で論じられているところを読みました。ここでも全く知らない説や捉え方が出てきましたが、文章が明快で分かりやすかったです。やはり自分が興味を持っているためか、長い文章を読むこともあまり苦になりませんでした。今後もこうして世間のニュースに関心を持って、それに関連付けて勉強していければ良いのですが。  

 ハンス・ケルゼンの根本規範論は法学入門でも少しやった内容だったので頭に入りやすかったです。経験可能な実定法だけが、人を従えている限りにおいて、法たり得るという純粋法学の考え方は、私自身かなり納得して、その後の法学者に大きな影響を与えたことも頷けるなと思います。
投稿者5:李雨(法学部1年)

 先週の講義で私が一番印象に残っているのは憲法の正当性についてです。特に印象に残っているのは先生がおっしゃった「押し付け憲法だったから何なのか。」というお言葉です。戦後から現在までずっと適用されてきた日本国憲法が押し付け憲法であったかどうかなんて今更問題ではないのではないか、大事なのは誰に対して何故押し付けられたかではないのか、という先生のお話を聞いて、今まで押し付け憲法論に何となくで納得していた自分が実は表面的な事実しか見ていなかったことに気づかされました。そして今の自分には憲法改正が是か非か考えるにはあまりにも前提となる知識が乏しいことがわかりました。これを機に自分でも憲法改正の論議についていろいろ調べてみたいと思います。

 先生の授業スタイルは板書やレジュメがないため、内容についていくのも復習するのも大変ですが、常に集中していなければならないという緊張感があって毎回楽しいです。明日の授業も楽しみにしています。

回の選択に戻る

 

 

 

 

第6回(2013年11月8日・金)

投稿者1:昼行燈(人間環境学府博士後期課程3年)

 今日の南野先生はピンクのシャツに赤いネクタイで、 季節に合わせた装いが素敵でした。 また、今日の先生は中央壇上から離れることがあまりなく、 前回のシャンソンショーから一転して、今回は演説みたいでした。 先生が意識的に行われているかは定かではありませんが、 講義内容に合わせて空間の使い方を変える術には、 心理学出身の自分も学ぶことが多いです。

 内容に関してですが、教科書や参考書に書かれていることの要約ではなく、 「南野的フィルター」に通された情報を聞くことが出来るのが楽しかったです。 教科書や参考書の文章をなぞるだけの授業をする方も、 まだまだ日本の大学にはたくさんいる中で、 その道でずっと研究を続けてこられた方=先生が実際に社会で起こっている問題に対して「どう考えているのか」までを合わせて、 講義の中に散りばめてもらえることは、講義を聞かせて頂けている身としては喜ばしい限りです。今回もノートを読み返して、ウハウハしております。

 次回は小テストを実施されるということで、 他の方々も勉強に励んでいらっしゃることと思います。 一緒に頑張りましょう!
投稿者2:acrophobe(法学部1年) 

 今回の講義から授業内容は「天皇」に入りました。

 新旧憲法の比較において宮澤俊義の八月革命説が取り上げられていて、この説の影響力の大きさを実感しました。前回の私の講義風景リポートにおいて、八月革命説について『(敗戦当時、主権が移行したという)認識が当時の日本政府や国民にあったのか、なかったとしたらそれでもこの説は成立できるのか』という疑問を書いていたのですが、その点に関して講義内で示された宮澤俊義・尾高朝雄・横田喜三郎という三者の対立構造から理解が深まりました。今回の講義前は、法的な国体と精神的な国体の区別ができていなかったのだと思います。分かりやすい説明ありがとうございました。  

 また、これに関連するところで、宮澤と尾高の議論の内容が興味深かったです。ノモス主権論を唱える尾高と、そのノモスの在り方を決定する主体の移行を論じる宮澤は、私には着目点自体が違うように思え、両者は永遠に分かり合えないだろうと感じました。また、尾高の死についての南野先生の言いっぷりには笑わせていただきました(笑)。

 次回も(小テスト含め)よろしくお願いします。

回の選択に戻る

 

 

 

 

第7回(2013年11月15日・金)

本日実施した小テストの結果です。

平均点:5.86点(満点は19点)

受験者数:192名

10点以上得点した者(法学部1年生のみ):004, 005, 012, 019, 022, 027, 030, 046, 051, 055, 056, 059, 062, 066, 077, 078, 088, 095, 099, 106, 123, 131, 142, 145, 146, 147, 148, 151, 163, 166, 170, 180, 188, 192 の34名

高得点者: 019, 123(16点) / 151(15点) / 077, 088, 131(14点) / 066, 170, 180(13点)
投稿者1:ブラウン(法学部1年)

 今日、天神においてフランス人のお友達とお買い物中の南野先生に遭遇したので、講義風景レポート投稿させていただきます。

 今回の講義は小テストが行われる予定でしたが、先生が少し遅れているということでどうしたんだろうと思っていました。が、まさか授業をしてから小テストとは思わず、しかもテストが論述形式でなかったということで、みんな驚いていたはずです。でも実際、テスト自体はそんな簡単なものではなかったですが・・・ツイッターで先生が、難しいぞまだ12時間あるぞとアピールをしていたので、皆前日の夜にあせって徹夜していたでありましょう。 しかしながら、テストのせいか否か、憲法以外の講義では多くの方がおやすみなさっておりました。

 一方、テスト前の憲法の講義自体はいつもどおりおもしろかったです。 天皇って立場は大変なんだなーと思いました。 そして今回はつづく政治学原論で大講義室が冷凍庫にならずにすんでよかったです。さらに次回の講義からは、2限の講義のあとマイクをしっかり充電するように誰か伝えてあげてください。

 次回は「九大まつり」のために休講なので、しっかり復習して次の講義に完璧な状態で望みたいと思います。
投稿者2:steamer(法学部1年) 

 今回の講義では小テストが行われるということで、慌てて準備をしていました。ところが、講義の最後に小テストを行うとのアナウンスが入り、不意をつかれた方も多いのではないかと思います。

 冒頭で山本太郎議員宛てに刃物入りの封筒が届いた事件と、それに対する鴻池議員の発言が取り上げられました。今後の動向が気になるところです。また、他の講義で耳にしたのですが、秘密保護法案が成立するかについても個人的に関心を寄せています。

 講義では、天皇と国政の関係という節のもと、国事行為に関して学びました。天皇を政治から遠ざけると言いつつも、国事行為は政治行為にあたるのではないかと考えていましたが、国事行為を分類することによってそうではないと理解することができました。

 肝心の小テストですが、やはり日頃の取り組みが大切だと痛感しました。これから、数回あると思うので、ノート作りに励みたいと思いました。
投稿者3:acrophobe(法学部1年)

 今回は小テスト待ちに待った(?)実施日でした。いざ準備して講義に臨む と、小テストは授業後半、しかも短答形式とのこと。私もその告知にどよめいた 一人です(笑)。  

 講義の内容は「天皇の行為」についてでした。なかでも今回は「国政に関する権能を有しない」という文言にかかわる「質的な限定」の観点からの「国事行為」の分類を学びました。どれも天皇と国政の距離を確保するためのものであり、象徴天皇制の根幹を担うものであると考えます。しかしながら、南野先生が講義内でおっしゃっていたように、生身の人間である「天皇の行為」について「国事行為」以外のものが公的な意味を全く持たないとするのは困難であると私も思いました。  

 また、「質的な限定」と「量的な限定」についてですが、樋口先生の『憲法』 で復習と予習を試みたところ、二つの言葉の関係性の理解が難しいと感じました。次回の授業までには理解を深めておきたいと思います…。  

 講義後に始まった小テストは、毎回きちんと復習しておけばよかったと思わせる内容でした。講義前の休み時間に steamer さんと話した箇所がテストに出たので助けられました。もっとも休み時間中は論述対策の話が主だったのですが… (笑)。しかし、Marbury v. Madison 判決など法学入門を含め入学以来何度も聞いてきた言葉を(聞き流すことなく)覚えているか確認するこのテスト形式も重要だと思いました。

 今回のテストで復習の詰めが甘いことを実感したので、これからはより綿密に復習していくつもりです。少し時間は開きますが、次回の講義もよろしくお願いします。
投稿者4:silicon(法学部1年) 

 小テストで精神的ダメージを受け、学祭で時間が空きましたが、 めげずに講義風景リポートを書きましたので提出します(笑)。

 小テストの予告にみんな落ち着かない休み時間を過ごしたようですが、小テストはまさかの短答式で更に授業の最後に行うということで、私としては少し拍子抜けした気分でした。だからといってテストを簡単に感じるということはなく、日頃の復習不足を痛感する結果に終わりました。短答式ということで、ひとつひとつの単語、漢字を正確に覚えている必要があり、丁寧な学習の必要性を感じました。このままの状態で来年の夏のテストを迎えると大変なことになりそうだという危機感と、小テストの勉強にも真摯に取り組もうという意識を改めて持つことができたので、今後の学習に活かしていきたいです。また、今回のテストの内容に関しては、このテストのために勉強して得るべきものというよりは、法律や関連するニュース、歴史に興味を持って学習していくことで自然と身に付く、という流れが理想的なレベルの知識であったと思うので、反省しています。

  さて、授業内容ですが、天皇の国事行為が国政に関連する権能になりえないのかという疑問を、国事行為の分類によって解決するというお話がとても面白かったです。法律を解釈する本質・意義を見ることができ、またその手法の巧みさにも感心しました。一方で、その分類に従えば、認証という行為があまりに法律的効果の無いものであるため、そもそも存在意義があるものなのかという疑問が残りました。また、儀礼的行為に分類し、あくまで形式的な行為であって実質的な影響はないとする分類方法には、先生がおっしゃったように、その儀式の相手、 時機などによっては政治的な影響があるという抜け穴があり、解釈の改善の余地と共に、国事行為の質的限定の限界を感じました。

 次回の授業は休講と思い込んでいましたが、きちんと授業があると聞いて、少 し気を引き締められました。学祭はしっかり楽しんだので、気持ちを切り替えて講義に臨みたいと思います。

回の選択に戻る

 

 

 

 

第8回(2013年11月29日・金)

投稿者1:昼行燈(人間環境学府博士後期課程3年)

 気付けば一週分開けてしまっておりまして大反省の昼行燈です。自身の講義内容振り返り用にもしているので、めげずに出来るだけ講義風景リポートの投稿をさせていただきます。と言いましても、講義の内容はいつもの通り、他の受講生の皆様におまかせして、ひたすら講義風景を書くのみなのでございます。

 最近は聴講の回数も重なってきたせいか、授業中の先生がおっしゃる言葉について一つ気付きましたのは、"接続詞の使われ方が分かりやすい"というのがあります。先生は訳著も出されていらっしゃいますので、ロマンス語に親しんでいらっしゃることにも起因するのかもしれませんが、順接や逆接、具体・抽象化、根拠に結論、それぞれをおっしゃる前にはきちんと適切な接続詞を挟んで(かつ少しだけ声のボリュームを上げて)下さるので、ノートが大変取りやすいです。

 また今回の講義内で、先生が参考書について「読者フレンドリーではない」というお話をされてましたが、私は「読者スポイリングではない」という意味かなと取りました。また、そういう意味では、「ハンドアウト無し」、「板書ほぼ無し」、「90分お話を聞いて集中してノートを取る」スタイルの先生の講義も、「受講者スポイリング」ではないなと思いました。ただ、決して「受講者フレンドリーではない」わけではなく、雑談などの中にいつもいろいろと"釣り針"を垂らして下さっているので、今まで全く興味をもっていなかった事項に関して、与えられた情報を能動的に噛み砕き、自分で問題の所在を探り当てながら知っていくという楽しさを頂いています!

 2013年の講義も残り少なくなってきましたが、年末だからといって浮かれないで、社会の動きにアンテナ張りながら、次回以降の講義に臨んでいきたいと思います。
投稿者2:carp(法学部1年) 

  毎回、授業の冒頭にある先生の時事的なお話がとても楽しみです。僕ももちろんそれをメモしたりしていますが、周りの人もけっこう 熱心にメモをとっている人がいるので、これからも続けていって下さい。

 今回の授業は天皇の国事行為における「量的限定」のお話から始まりましたが、 憲法の規定での、天皇の国事行為があいまいでもし憲法改正があるならばこの点も議論にあがるのではないかとも思いました。

 それでは次回も冒頭のお話、楽しみにしております。
投稿者3:acrophobe(法学部1年)

 今回の憲法Ⅰの講義は、南野先生が某国へ出張されるためにいつもより30分ほど短かったです(うっかり休講と思い込んでいたのですが、前日にひょんなことから講義があると教えていただけたので助かりました)。しかし、内容は濃いものであり、いつもの講義と同じくらいの量のノートを取ることができました。

 今回は、「特定秘密保護法案と広島高裁の判決は必ず言及されるだろうな」と考え、ある程度のことは調べて講義に臨みましたが、大阪地裁の遺族補償年金受給資格の男女格差違憲判決については全く調べが足りていなかったので反省しています。講義はもちろんですが、「雑談」の時間も時事問題を憲法や憲法学の観点から考えるきっかけになるので、ボーっとするだけではもったいないと思いました。

 講義は天皇の行為の量的な限定についてで、非常に難解な内容であるように感じました。ただ、教科書で予習したときよりは理解しやすかったため、分からないことについては何度もそれに触れて考えをめぐらせることが重要であると実感しました。準国事行為説などがまだ特に理解しきれていない部分なので、色々な本を読んで考えを深めたいです。 次回の講義もよろしくお願いします。
投稿者4:silicon(法学部1年) 

 学祭で授業が無かった間にも、社会では法学部生として関心を持っておくべき出来事がたくさんありました。今回の講義でも、それらのお話が授業内容に入る前に少し取り上げられていたので、その内容について理解を深めることができ、良かったです。ここ最近の改憲の動きのせいか、違憲判決に関するニュースを以前より頻繁に耳にするようになりました。憲法の最高法規性や三権分立を守るということが本質的な機能だと思いますが、こうして連日ニュースになり、メディアに取り上げられることで、国民の、憲法に対する興味関心の増大につながるという面もあるのではないかと思います。また、1943年翼賛選挙の違憲判決「幻の判決」 も、日本の立憲国家としての自覚が、この時代から、この戦争中においても芽生えていたことを表す誇り高い事例として、広く知られて欲しいことです。

 さて、授業内容である天皇の行為の量的限定についてですが、これは憲法の条文のシンプルさから来る解釈の多様性が存分に発揮された分野で、とても面白かったです。「儀式を行ふ」などという解釈次第でどこまでも意味を広げられそうな表現を選んだのは巧みだなあと思ってしまいました。現在政府は天皇の行為に関して、私的行為でも国事行為でもないグレーゾーンを認めるという立場を取っているとのことですが、内閣がきちんと補佐をして政治責任を負うという前提で、 天皇が公的行為を適切な範囲で堂々と行えるように、今はまだ曖昧とも言える憲法の条文が整えられていくべきだと感じました。

 それでは、南野先生が pm2.5 で話題の「とある国」から無事帰って来られることを祈っています。

回の選択に戻る

 

 

 

第9回(2013年12月6日・金)

投稿者1:silicon(法学部1年)

 今回の講義でも特定秘密保護法案が話題に上りました。安倍首相は私の出身県の出でいらっしゃるので、それだけで何となく応援する気持ちもあるのですが、やはりこの法案の成立に関しては、強引な印象を拭えません。確かに、法案成立の利益・不利益を周知徹底したところで、国民の感情や法案に対する根拠の薄い印象論が、理論的に正しい方向、理屈の通った方向に必ず向かうということは無いと思います。しかし、この法案のように、既に「成立」してしまった後で「詳細の説明」や「懸念の払拭」に努めるというのでは、私たちが義務教育を受けていた頃からずっと習ってきた「民主主義」とは何なんだろうと思ってしまいます。(と、いうようなことを感想として抱いたので、法学よりは政治学的な視点の話かも知れませんが綴っておきます。)  

 また、週1回の箱日が来年から廃止されることに関しても言及がありました。確かに自宅・箱崎間の遠さに焦点を当てると、通学を億劫に感じることもありますが、それでも箱日はあって良かったと思っています。1週間のモチベーションでありペースメーカーであり、先生もおっしゃった通り都会に遊びに出る機会でもあるからです。後輩たちが週5伊都キャンでも、楽しく志ある毎日を送ってくれることを祈るばかりです。  

 さて、授業は引き続き天皇に関するお話でした。私は特に、世界の立憲君主制との比較を通じたお話に興味を持ちました。世界各地の立憲君主と日本の象徴天皇制は、こと君主の権限という側面においてこんなにも違うのかと驚きました。生身の人間が象徴として君臨し、国政に関する権能を全く有さない。日本の制度の特異さを改めて感じました。私は、国の象徴に対して国民が思慕の情を寄せやすいことなどは、他に無い利点であると思っているので、こうした独特な側面が活かされた形で制度が整えばいいなと思います。
投稿者2:acrophobe(法学部1年) 

 最近座席の埋まり方がまばらなように感じられますが、めげずに講義風景リポートを書こうと思います(笑)。今回の講義では日本の天皇制が固有のものであることを再認識しました。日本で生活する中で何となく「天皇」と「エンペラー」が同じものとは思えなかったのですが、その違和感を今回の講義で憲法学の観点から解説していただいたように思います。また、天皇は君主であるか、元首であるかという論争についても学びましたが、まず問題となるのはそれぞれの言葉の定義であるということを忘れてはいけないと感じました。さらに、どちらにしろ日本国憲法が規定している天皇の権限が変化するわけではなく、仮に「元首」という言葉が新たに使われるようになったとしても、外交的作用が生まれてはならないと考えます。

 また最後の不敬罪の説明のとき、「司法の独立」という言葉の意味の深さを学びました。今までは政府からの圧力にたいする独立という観点からしか考えておらず、個々の裁判官の独立というのは自明のものだと考えていました。自由心証主義のもとの裁判は、政府によっても他の裁判官によっても侵されてはならず、 「司法の独立」のためには不断の努力をすべきであると思います。

回の選択に戻る

 

 

 

第10回(2013年12月13日・金)

投稿者1:silicon(法学部1年)

 授業の冒頭で紹介された、森達也さんのインタビュー記事を拝見しました。話し言葉で分かり易く、頭の整理に役立つものでした。もちろん内容も充実していましたが、その詳細はおいておいて、森達也さんのように思慮深い大人になりたいと感じたのが率直な感想です。日本の制度や成り立ちについての深い考察、そしてそれを理解しやすい文章で伝える力を身に付けるには、やはり今のうちから、そういった事象に関する知識や、それらに対する高い意識を持っておくべきだと感じました。社会的事象に対して敏感になれるという面で、法学部は恵まれた環境であると改めて思いました。  

 さて、今回の授業内容で最も興味を持ったのは、天皇と裁判権についてのお話でした。その中で話された、皇族とは違って天皇には生前退位が認められておらず、一度天皇になれば自由に辞める権利すら無いという事実は、今までの学習で何となく分かってはいたものの、きちんと文言化されると(今更ではありますが)少しショッキングでした。憲法学上、天皇には人権が認められていないことは理解できますし、天皇象徴制を取っている限りこの解決は不可能だろうとは思いますが、象徴である前に社会的にひとりの人間であるという事実を無視しなければならないのが心苦しい点です。  

 授業は第4章に進み、平和主義についての講義に突入しました。集団的自衛権や防空識別圏などはニュースでよく耳にする言葉ですが、ここ最近の日本の外交情勢は穏やかとは言えません。国民としてしっかり向き合うべき問題に、憲法学的視点から取り組めることを楽しみにしています。
投稿者2:acrophobe(法学部1年) 

 今回の講義では、前半では象徴天皇制に関わる諸問題の解説が終わり、後半でついに九条の内容に突入しました。象徴天皇制の諸問題について、特に興味深かったのは「天皇と裁判権」というお話です。今まで生活してきた中で「天皇に裁判権があるのか」という問題を考えたことがなく、判例が存在することにまずもって驚きました(天皇と民事裁判権については、先生が薦めてくださった百選第五版も確認しておこうと思います(笑))。当事者能力と当事者適格については、まだ私の知識が乏しく、まだ理解が追い付いていないのが現状です。  

 また、元号や国旗国歌について、過剰な「押しつけ」は避けられるべきだと思いました。ちなみに、卒業式での国歌斉唱の音量調査を行った市として私の地元の名前が出たときは、本当に驚きました。しかも、少し調べたところちょうど私が卒業式に出席していた年だったため、さらに驚くとともに複雑な気持ちになりました。教育の場に携わる公務員にたいしての強制は許される部分もあるかもしれませんが、音量調査というのはやりすぎ感が否めないというのが私の心証です。

 入ったばかりの「第四章・平和主義」についてもこれからの講義を楽しみにしています。次回は年内最後の講義ですが、しっかり気を引き締めて臨みます。よ ろしくお願いいたします。余談ですが、講義の最後に「justa causa」という言葉出てきて、現在ラテン語習得中の身としては嬉しかったです(笑)。

回の選択に戻る

 

 

 

第11回(2013年12月20日・金)

投稿者1:silicon(法学部1年)

 悪天候の影響で電車が大幅に遅れており、民法の時間から人が少なかったです。今年最後の講義を天候のせいで諦めなければならなくなった人は少しかわいそうでした。  

 さて、先述の通り今年最後の授業ということで、気を引き締めて臨みました。加えて、政治学原論で戦争観の変遷について、社会性で人道的介入について、それぞれ学習したばかりだったので、授業内容全般に渡って興味を持って聞くことができました。 正戦論が、ヨーロッパ各国のローマ法王からの理論的独立に伴って、戦争を行う justa causa を裁定する超越的存在を失い、一旦は衰退したことや、第一次世界大戦という無差別戦争観の失敗を経て、現代の日本は今一番意味が分からない状態にあると私は思います。現状では、ある種の正戦論を取っているのだとは理解できますが、国連憲章2条を例に取っても分かる通り、実質的意味の戦争を禁止する平和志向の流れにもっと寄り添った在り方を探求していくべきだと思います。

 また、日本の平和主義の特殊性についてのお話も大変面白かったです。9条1項をめぐる解釈では、全面放棄説に大変納得し、こちらが圧倒的に有力だということにもうなずけました。ただ、9条1項で全面放棄説を取るならば9条2項でも全面不保持説を取るべきであるという当然の判断が現状との齟齬を生み出します。ここで「戦力」の定義を工夫するわけですが、それでも海外への武力派遣を行っている日本が「戦力不保持」を言うことはできないと思います。まずは理論的体裁を整えることで、日本の平和の目指し方を固めるべきだと思いました。

 最後になりましたが、2013年中は大変お世話になりました。講義風景リポートは、書くことで自分の頭も整理されるし、授業内容について考えを深める機会にもなるので、本当に楽しく書かせていただいています。みなさんも是非書いてみてください!それでは、来年もよろしくお願いします。
投稿者2:acrophobe(法学部1年) 

 今回の講義では、正戦論や無差別戦争観といった戦争にたいする考えの歴史的な変遷とともに憲法の観点から「戦争」を考えました。ただ、実際の戦争というのは憲法だけではなく国際法や外交政策、さらには個人の倫理観も関わってくる問題なのですぐには理解できないものであるし、容易に理解しようとしてはいけないものであると感じました。どこまでが自衛戦争でどこからが侵略戦争なのか。人道的介入の是非は。そして個人的には、9条2項(戦力の不保持)についての政府見解はどうも腑に落ちないものであるように思います。まだまだ考えが追い付かないことが多く、日々勉強しなければと痛感しました。  

 個人的に読んだ本の中で「芦田修正」と呼ばれる9条修正について書かれた部分があり、とても興味深かったです。前回の参考文献である樋口先生の論文はまだ読むことができていないので、来週までには読んでおきます(図書館で予約するのが遅かったようです…)。では、今週もよろしくお願いします。

回の選択に戻る

 

 

 

第12回(2014年1月10日・金)

投稿者1:Rich Rad(法学部1年)

 初めて講義風景リポート提出します。

 2014年初の専攻日。今日は朝から雪がちらついたり、吐く息が白かったりと、とても寒い1日でした。前回の小テストで勉強不足だと痛感してからは憲法の授業に臨む姿勢も変わり、より真剣に取り組むようになりました。他の先生方とは違い、板書やレジュメをほとんど使わない南野先生の授業スタイルはノートを取るのが大変ですが、すごく鍛えられている感じも少ししています。頼りは自分の耳と頭だけなので、恥ずかしながら漢字が分からなくなることもあり、(手りゅう弾のりゅうってどんな漢字だっけ?!と言った具合に(泣))携帯とパソコンにいつも頼っているから忘れるんだ…、とそんな自分がいつも悲しくなります。

 さて、講義の内容に関してですが、今日1番興味を持ったのは百選に載っていた警察予備隊の事件についてでした。自衛隊の合憲性についていまだ有権解釈がないということは聞いたことがありましたが、その理由が、日本の違憲審査が米国を模範とした付随審査的違憲審査であり、違憲審査は司法権の範囲内においてのみ行使されるのだということは知りませんでした。我々国民からみても自衛隊は合憲か違憲かというのは極めてあいまいなところがある、だから裁判所は違憲審査権を行使しないのだ、と思っていました。そして、どうして誰もこれに関して違憲だと裁判所に主張しないのだろうと疑問に感じていましたが、抽象的違憲審査ではないからなのですね。基礎的な法知識の欠如を認識したと同時に、新たに知る喜びを感じ、やる気が湧いてきました。

 先生が最後におっしゃった9条の良い点についてもそんな風な考え方があるのか、と感銘を受けました。 講義風景リポートを書くと、なんだか今日1日の復習ができた気がします。拙い文章ですが、これからも度々書いていけたらいいなと思います。
投稿者2:appletea(法学部1年) 

 2度目のリポートになります。私には皆さんみたいな高度なリポートは書けないので、ご容赦ください。前の方も書かれていらっしゃるように、2014年初の専攻日はとても 寒い1日でした。福岡で雪を見るのは初めてだったので、なんだかわくわくしながら1日の講義を受けていました。後期が始まった当初から感じていたのですが、1日で4人の先生の講義を受けると、個々の先生独自の個性がよく伝わってきます。今回気になったのは、南野先生は座っていたり、あまり動かないで講義をなさっていることが多いのですが、次の授業の蓮見先生は講義の間ずっと壇上を歩き回っていて、手振りも多いことです。どちらの講義形式も好きなので構わないのですが、蓮見先生は90分間で疲れないのだろうかと少し心配になります。  

 さて、今回は、安倍首相の靖国神社参拝の話から講義が始まり、先生の考える国益のお話、さらには信教の自由や政教分離へと話が展開してい きました。信教の自由のお話のなかで、エホバの証人であった生徒が宗教上の理由に基づき剣道の授業に参加しなかったために進級拒否・退学処分を学校側から下されたという話が出てきました。この裁判では、進級拒否処分は違法なものとされました。 先生も指摘されていましたが、自分が多数派であると分からない問題が、信教の自由に関する問題ではおこるのだと改めて感じました。そういうことも意識しながらこれから学習を進めていきたいです。

 また、平和主義の分野では、自衛隊の有権解釈についてお話がありました。私は無知で物申していたころは、政府見解はなんて曖昧なのだろうかと思っていましたが、法学の講義を聞くようになってからはあまりそうは思わなくなりました。だから、先生の話も納得しながら聞くことができました。 拙い文章になりすみません。法学を勉強し始めてから新しい視点から物事を考えることができるようになりました。講義についていくので精一杯になっていますが、本年もよろしくお願いします。
投稿者3:のりえもん(21世紀プログラム2年)

 初めて講義風景リポートを書きます。今までは他学部生である私が書いていいものかとリポートの提出を見送っていましたが、今年度いっぱいで終わるかもということをお聞きし、「書かねば」という気持ちに駆られ、キーボードの前に座っているところであります。

 さて、第12回の講義の内容は「自衛隊についての政府見解」でした。私も上の方と同様に、「自衛隊が戦力であるか否か」という問題は、政治的に高度な問題であるがためにその判断がされてなかったのだとばかり思っていましたが、今回の講義を聞きその理由を知ってなんだかスッキリしました。「その理由」の部分の説明に関しては他の方のリポートにお願いしたいと思います。

 講義の終盤に「法解釈は秘教である」とおっしゃったようにその面白さは勉強をつまないと見えてこないものだと思います。憲法をかじり始めた程度の私は講義についていくのもやっとやっとの状態ですが、この講義が終わるころにはその面白さが少しでも分かるようになっていればと思います。

 拙い文章ではありますが、他の受講者の方の講義の振り返りになれば幸いです。失礼します。
投稿者4:silicon(法学部1年) 

 安倍首相の靖国神社参拝のお話を導入として授業が始まりました。日中関係、日韓関係の悪化などは最近よく騒がれていることですが、南野先生のおっしゃったような深い意味までは、少しも考えが及びませんでした。改めて、法学の世界に身を置く人の考慮の深さを知り、憧れを抱きました。こういった類の勉強は、大学生活という長い年月をかけて、徐々に積み重ねられ、磨かれていくものだと思うので、今後もこの感動や志を忘れずに過ごしていきたいです。(また、こういう風にモチベーションを持ち直す機会を失うという意味でも、週1回の専攻日がなくなる後輩たちは少しかわいそうだなと思いました。)

 個人的に一番面白かったのは付随的違憲審査と抽象的違憲審査のお話です。違憲審査という言葉自体は頻繁に耳にしても、こうした区別や、自衛隊に関する有権解釈が為されていない理由がそこにあるとは驚きました。判例百選の警察予備隊違憲訴訟についてのページを読みましたが、日本の違憲審査権が付随的違憲審査権に限定されてしまった経緯や、判例によって違憲審査権の範囲が押し広げられた結果辿り着いた中間的違憲審査の可能性について解説がなされており、興味深かったです。最初私は、独立的で、法の秩序も保ちやすい、抽象的違憲審査がやはり優れているのではないかと考えていましたが、この解説を読んで、日本独自の変遷をたどった結果としての中間的違憲審査も適当であるように感じました。

 最後に、今回は何だか講義風景リポート仲間が多くて嬉しいです!
投稿者5:hotate(法学部1年)

 南野先生より Twitter をいただきましたので講義レポートを書かせていただきます。提出期限ギリギリかつ浅学の拙い文章なのはご容赦ください。

 新年初めの授業ということで、寒く雪のちらつく中でしたが、多くの学生が集まっているように思いました。私は後ろの方でこっそり受講しているので学生の入り具合はよくわかります。笑  今回の講義で興味深かったのは、冒頭に話された、政教分離と信教の自由に関してのお話でした。安倍首相が靖国神社参拝を行ったことに関して、初めは私も少し嬉しかったところがありましたが、先生のお話のように、外交上の観点からも、また日本国内の評価からも、国益に反することを理解し、自分の浅はかさを感じました。右翼側も左翼側も共に評価し、日本国民全体が熱狂している状況は第二次世界大戦に向かっていく時代の日本と重なり、恐ろしさを感じました。その第二次世界大戦で、国家神道が戦争時の国民の団結を高めるために政治に利用され、その反省から政教分離が行われたことに関しても深く考えていないところもありましたが、少数者の人権の擁護はやはり大事なことであろうと思いました。しかし、特定の宗教団体にある反社会的な教義があるかもしれない場合において、憲法の信教の自由はどの程度守られるのか、疑問に思いました。

 先生の講義はほとんど板書をされないスタイルできつい時もありますが、私は結構気に入っております。また、ここでレポートをかけるよう、しっかり講義を受け、自学をしたいと思います。拙い文章で失礼しました。

投稿者6:acrophobe(法学部1年) 

 いつもより多くの方が講義風景リポートを提出していらっしゃるので(すごく嬉しいです…!)、今回は書くのを見送ろうかとも思ったのですが、もはや書かないと違和感を抱きさえするようになってしまったので書いている次第です(笑)。  

 先生の赤系統で揃えたシャツとネクタイがおしゃれだな、などと思いながら始まった1月10日の講義でしたが、所謂「雑談」の部分のお話が心に残っています。今回の「雑談」では、靖国参拝問題が取り上げられていました。この問題にたいする南野先生のお考えの中で、一国のトップの言動にたいして右翼左翼両方が喝采するという状態は危険だというものがありました。たしかに、言葉だけ聞 くとその状態は戦前の日本を想起させるもので非常に危険だと思います。しかし、今の日本でどれだけの人がその危険性を意識しているのかを考えたとき、私自身今まで何も考えずに過ごしてきたように思います。あまり考えずに強いリーダーに熱狂することは危険だと学んできたはずなのに、実生活では生かされていないような気がします。このお話は、講義後半の政府解釈についてのお話に活きていて(と勝手に解釈 しています)、安易に熱狂すること、そして安易に罵倒すること両方とも避けなければならないと感じました。

 講義内容については他の方がたくさん書いていらっしゃるので「雑談」部分につ いて書いてみました。では次回もよろしくお願いします。先生の言葉の意味を取り違えていたらすみません…。私が気に入っている小説の中に出てくるテーマと通じるお話が講義の中で出てきたため、かなり自分本位の理解をしている気がします…。明日もよろしくお願いします。
投稿者7:昼行燈(人間環境学府博士後期課程3年)

 私にとってはこの日の聴講をもって南野先生の講義にお伺い出来るのが最後となってしまい、短い間ですが聴講させて頂いた期間の中で私が学ばせて頂いたことを、最後にきちんとリポートしておきたいと思い、講義風景リポートを書かせて頂きます。

 <南野先生の講義全体において学んだことについてのリポート> 

 聴講を始めた当初は、憲法学そのものについて学ぶというよりは、先生が執筆された文章を読ませて頂いた時に感じた先生がお持ちの「論理性」に興味を惹かれ、講義中も講義内容というよりも話の展開の仕方や思考方法を追っておりました。しかし、この1月になってニュースにおける憲法の話題について、思考や議論が出来るほどでは到底ありませんが、これまで知らないままで良しとしていた自分を恥じ、興味をもって知ってみようという姿勢を持つことが出来るようになりました。受講生の皆さんを「100」とした時に、私は「1」ほどのものではないかと感じますが、しかし「0」ではなくなったことに、南野先生が提供して下さった講義のすごさがあり、感謝の気持ちでいっぱいです。

 <今回の講義についてのリポート>

 これまで講義内容についてのリポートは控えておりましたが、最後に記念として書くことをお許し頂ければ幸いです。今回の講義中、導入時の安倍首相の靖国神社参拝に関するお話と、法解釈を行う専門家の存在についてのお話の2点において、私は南野先生の憲法学者としてのプライドを感じました。「広く一般大衆のためでありながらも、不用意に悪用されないためにも、解釈トレーニングを積んだ専門家にしか分からないコードによるやり取りを行う」という点は、「都市という一般市民のためにある器の中において、一般市民が起こしうる犯罪を抑制しなければならない」という私の研究である「都市における防犯」においても同じようなことが言え、私が今後プライドを持って行っていかなければならないことである、と再認識させられた次第です。

 最後になりましたが、大学における生活最後のタームにおいて、3ヵ月という短い期間ではございましたが、他学府でありながらも快く聴講を受け入れて頂き、私に多くの気付きと学びを提供して下さった南野先生に感謝いたします。本当にありがとうございました。

 追伸:リポートを定時に提出しない私が言うのもなんですが、今回の講義の中で今後はリポートシステムを止めるかもとおっしゃっておりましたが、このシステムは受講生の方々のためにも、是非続けて頂ければと思います。今後も、先生の講義が、多くの受講生の方々を刺激される良い学びの場であり続けることを願っております。

回の選択に戻る

 

 

 

第13回(2014年1月16日・木)

投稿者1:Rich Rad(法学部1年)

 センター試験準備のため木曜日に箱崎というイレギュラーな1日でした。最近は中間テストが迫っているため専攻の授業に取り組む姿勢がみんな真剣です。自分も必死に頑張らねば、と思い今日の授業に取り組みました。  

 さて、今回の授業では砂川事件、恵庭事件、そして長沼事件が取り扱われましたが、私が1番衝撃を受けたのは砂川事件についてでした。立川飛行場の拡張工事に反対した住民が米軍基地内に不法侵入し、通常ならば刑特法で裁かれるはずだけれども、第一審判決は米軍駐留を違憲としました。私はまず、裁判官が米軍駐留に違憲判決を下した事実があったということに驚きを感じました。 それに対し、検察側が跳躍上告、さらに最高裁の破棄・差し戻しをしたのは妥当な判断だと思います。日米安保が主権国として国の存立の基礎に極めて重大で、かつ高度の政治性を有するものであり、内閣や国会の政治的・自由的裁量判断に反するような違憲審査を行うべきではない、と最高裁が主張するのならば尚更です。

 これだけ聞くと非常に納得できるのですが、しかし私は第一審判決後の最高裁の動きを疑問に思いました。伊達判決後、マッカーサ米駐日大使と藤山愛一郎外相、さらには田中耕太郎最高裁長官までもが密会を交わしたという事実にとてつもない衝撃を受けました。大使から外相への跳躍上告の助言だけでなく、田中長官がその後ウィリアム・レンハート首席公使に最高裁判決の時期、裁判官一致の判決を目指し世論を混乱させる発言を避けることなどを事前報告していたことを知り、(南野先生がおっしゃっていた直言を読みました。) 何とも言えない感情になりました。正直、米軍駐留については違憲判決の判断が割れそうなものなのに、それを鼻から一致の判決を目指したり、極めて短い時間で簡単に一審の判決を破棄したり、そしてそれを何より(時代柄しょうがないとはいえ)アメリカに先に密告していたことがショックでした。

 今回の勉強を通し、9条の問題さらには米軍の問題というのは極めて難しい問題であることを再認識しました。これからもっとこういう事件、ニュースに着目して過ごしていきたいと思います。今回が今年度最後の授業だったので、春休みしっかり復習して4月の授業に臨みたいと思います。4月からもよろしくお願いします。
投稿者2:acrophobe(法学部1年) 

  2013年度後期憲法Ⅰの最後の講義は、木曜日に金曜日授業を実施するという普段とは違う形で、出席者も若干ですが少ないように感じました。しかし、講義の熱さといいますか濃さはいつも以上で、来期に向けて気を引き締めなければと思いました。ちなみに、前回このリポートで南野先生の赤を意識したファッションについて書かせていただいたのですが、今回はシャツとネクタイをブルーで統一されていて、やはりお洒落だなとも思ったのでした。  

 さて、今回の講義は「9条をめぐる裁判例」という題目で、まず冒頭で前回の警察予備隊訴訟に関する付け加えがありました(これは講義風景リポートから出た疑問への回答であり、このようにこのリポートは講義をよりよくすると思うので出来れば存続してほしいのですが…)。それから砂川事件・恵庭事件・長沼事件の概要と憲法学の観点からそれらの判決が意味するところを学びました。私はどちらかというと、砂川事件の第一審判決、いわゆる伊達判決のような毅然とした姿勢を司法に求めてしまうのですが、あまりに極端な判決を出してしまうと権力側が暴走してしまい、法の支配が崩れてしまう危険性があるということも考えられるようになってきました。権力と司法がギリギリのラインで動くからこそ意味があるのではないかと今のところ思っています。ただ、砂川事件の最高裁判所判決は、限定付きの統治行為論の理解が難しいとともに、その背景にはアメリカとの秘密文書という司法権の独立に関わる問題があり、色々な面で重要であるということも知りました。  

 また、恵庭事件についてですが、以前参考文献に挙がっていた樋口先生の講座憲法学第2巻の樋口先生と深瀬忠一先生の対論にどのような方針で裁判に臨んだのか詳しいことが書いてありとても勉強になりました。深瀬先生のあえてはじめからブランダイス・ルールを持ち出さない方針には驚かされましたが、その考えが非常に深いと感じました。判決の形成過程を知ることでより深い理解に繋がればと思います。この対論の中で深瀬先生は徹底した不戦が世界法原則になるのは21世紀中ごろであると予見されています。しかし、2014年現在、その状況にはまだほど遠いような気がします。これから9条、そして国際的な平和というものがどのようになるのか、しっかり考えていきたいです。  

 長くなってしまいましたが、憲法Ⅰ後期の講義をありがとうございました。復習や予習の良い機会なのでこの講義風景リポート制度は続けてほしいです(笑)。4月からも頑張ります(その前に中間テストも頑張ります)。
投稿者3:silicon(法学部1年)

 木曜日に箱崎に来るということ自体初めてで、何だかわくわくしてしまいました。憲法Ⅰの授業を受けているほとんどの人は、この大講義室で共に1年近く学んできた仲間たちです。座る席も固定化してきて、私がいつも座る席から見える横顔も決まってきます。こういう変則的な日には出席状況も変わったりするものかな、とも思っていましたが、私より前方に座っている意識と意欲の高い方々は、いつもと何ら変わることなく、真剣な姿勢で授業に臨んでおり、改めて気を引き締められました。  

 前回の講義から、付随的違憲審査・抽象的違憲審査については興味を持っていたので、今回も憲法問題に対する裁判所の姿勢に関するお話を種々聞くことがで き、面白かったです。砂川事件、恵庭事件、長沼事件など講義で紹介された主要な事件について、判例百選で確認し、樋口先生が著作「憲法」で言及されていた部分を読んでみましたが、憲法判断を回避するための様々な論理テクニックに感心し、また、その中立的な立場を守ることの難しさを感じました。長沼事件の、憲法判断回避・合憲限定解釈のルールを適用するか否かについての裁量が裁判所に委ねられることとなった経緯と、砂川事件の跳躍上告に至った経緯についてのお話を併せて併せて聞き、司法の独立・裁判所の独立の肝要さと、背負うものの重みを改めて認識しました。(裁判官を目指している友人がいるので、裁判所のお話はついつい応援する目線で聞いてしまいます(笑))

 最近はテストに向けて復習の時間が増え、講義と樋口先生の「憲法」の内容がやっと頭の中で整理され、リンクしてきたところです。こうなるとより楽しく勉強できます。来期はテスト前でなくてもこの状態でいられるよう、復習を心がけていきたいです。講義風景リポートもその一環として続けていければ良いなと思います。

回の選択に戻る

 

 

 

期末試験(中間試験)(2014年1月31日・金)

投稿者1: silicon(法学部1年)

 今回は、とうとう来てしまった中間テストでした。政治学原論を履修している人はそのテストもあり、大変な午後になったなと思います。午前中から学校に行って勉強している人も多かったようで、皆さんの意識の高さが伺えました。  

 いつもより幾分緊張した空気の中、問題用紙が配られました。先生がわざわざ裏返して配るように指示し直されたので、てっきり問題文は印字されているものと思いきや、重要な部分は口頭・板書による発表で、勢い込んで問題用紙を裏返した分、少し拍子抜けしてしまいました(笑) 。指定の試験範囲は、授業を聞き、樋口先生の「憲法」などを読んでいれば理解に苦しむ内容の部分ではなく、問題文も至ってシンプルだったので、個々のこの試験勉強への取り組みと、普段から鍛えておくべき文章作成能力の試されるテストだったように思います。試験後に周りの友人と確認してみたところ、私は大正解の答えを書けた気が全くしないのですが、この試験に向けた勉強を通して憲法に対する理解が深まったのは確かです。同時に、このように自らの理解を確認し、知識の定着を図る機会が設けられていない他の専攻科目について、危機感をも覚えました。  

 この試験をモチベーションにつなげ、充実した春休みを過ごしたいと思います。また来期の授業もよろしくお願いします。
投稿者2:のりえもん(21世紀プログラム2年) 

 今回は中間試験でした。

 私は今回初めて法学部の実定法の試験を受けたのですが、受講生の皆さんの真剣な眼差しと机に広がる六法を見て、一段と気が引き締まったような気がします。 試験の出来についてはあまり自信がありませんので、最終試験に向けて春休みも継続して勉強したいと思います。

 来期も引き続きよろしくお願い致します。

期末試験風景写真はこちら

回の選択に戻る

 

 

 

Go to :

南野のHPトップ   >   南野的授業   >  2013年度後期憲法Ⅰ   >  講義風景リポート

 

 

 

inserted by FC2 system