レストラン情報が欲しい、というご要望を下さったアメリカ在住のA・Tさん、どうもありがとうございました。
パリには本当にたくさんのレストランがあります。こんなにたくさんあって、よくやっていけるものだなあ、と思うこともあります。年間を通して、観光客がたくさんいるのと、なによりも、パリの人々がよく外食をするからなのでしょうか。
いろいろな国の料理が食べられるのも、パリならではのことかも知れません。近隣諸国やフランスの料理は別として、アジアでは日本、中国、韓国、ベトナム、タイ、インド、パキスタン、ラオス、チベット、モンゴル、ネパールなどの料理を出すレストランがありますし、なかなか日本ではお目にかかれない、アフリカ諸国の郷土料理などもあります。中近東諸国(レバノンやイラン)のものや、ユダヤ料理専門店などはたくさんあります。これらのなかで、街を歩けばまず出会わないことがない、と言ってもいいほど巷にあふれているのが、イタリア料理店と中華料理屋だと思います。
このページでは、これまでの南野の体験や見聞をもとに、パリのレストランを紹介します。「中華料理」、「日本料理」、「フランス料理」、「その他の国の料理」という四つのカテゴリーに分類しています。なお、フランス語の特殊文字は、日本語ページでは正しく表示されませんので、アクセント記号(アクサン)などを省いて書いています。ご注意下さい。
パリにはものすごい数の中華料理店があります。しかもおそらくその全てが中国人によって経営されているのではないでしょうか。イタリア料理は、イタリア人のやっているお店も、フランス人のやっているお店もあるのですが、中華料理店でフランス人が働いているのは見たことがありません。さて、パリの13区には、大変な規模の中華街があります。街中に中国語の看板があふれ、大きなスーパーには、中華の食材がところ狭しと置いてあります。日本人はよくこの13区の中華スーパーで、カップラーメンや醤油、海苔、日本製ビール(なぜか異常に安い)、点心ものの冷凍食品、白菜(こちらでは割合珍しい野菜です)などを買ったりしています。当然、この中華街には大量に中華料理店があるのですが、南野はあまり詳しくありません。それでひとまず中華街を離れ、まずは、少し縁のある次のお店から紹介させていただきます。以下、赤字がお店の名前、続くカッコ内が住所です。
Restaurant Chez Zhou (105, rue de la Tombe Issoire, パリ14区)
マダム Zhou が、レストランのウエイトレス役を一人でやっています。ムッシュ Zhou がコックさん、だったのですが、最近は他のレストランに働きに行っているそうで、若いあんちゃんがコックさんをやっています。以前は従兄弟だという中年のおじさんがコックさんだったのですが、いつのまにか消えてしまいました。さて、このレストランは、南野の住んでいる住宅街にあるわけで、しかも大通りに面しているわけでもないので、いつも比較的空いています。よく夜アパートに帰る途中にこのお店をのぞくと、お客さんがだれもいないため、コックのあんちゃんとマダム Zhou が奥の方でトランプをやっているのが見えたりします。それでも週末になるとまずまずのお客さんが入ります。先日、十周年を記念して10%割引中、という張り紙がはってありました。10年もちゃんとやってこられた訳ですから、南野が心配することもないのかもしれません。
さて、肝心の料理の方ですが、コックさんがそういう風によく変わっているわりには、味はいつも同じです。南野はパリ滞在の一年目が終わったころから、急に西洋もの料理に飽きが来てしまい、それ以降よく、 Zhou さんのお店でお持ち帰り用に包んでもらい、アパートで一人食べたりしてきましたから、結構このお店の味には詳しくなったつもりです。南野の一番のおすすめは上海風餃子(raviolis grilles a la Shanghaienne, メニュー番号はB7番)です(1人前7個で35フラン)。日本式中華料理で定番の焼き餃子は、こちらでは扱っていない店が多いのですが、ここにはあったのです。ある中華料理通の日本人に聞くと、焼き餃子というのは、水餃子や蒸し餃子(これらはたいていどのお店にもあります)の余ったものを、翌日に焼いて出すものだそうです。本当でしょうか。ともあれ、ここの餃子はたいへんおいしいです。南野はこれまでここに何人もの日本人を連れていきましたが、皆さんに大好評だったのが、この餃子です。
その他、中華風エビサラダ(Salade chinoise aux crevettes, 15番)(25フラン)も気に入っています。どうやら、フランスの中華料理店で中華風サラダというのを頼むと、いつも同じ感じのソースがかかってくるようです。酢と、ピーナッツクリームのようなものを混ぜたといったところでしょうか。誰かこのソースの作り方を教えて下さい。エビに飽きると、中華風チキンサラダ(Salade chinoise au poulet, 17番)(25フラン)にしたりすることもあります。最近発見したのですが、野菜炒め(legumes chop-suey, 61番)(25フラン)がまったく日本風の、実になつかしい味でした。最近一番のお気に入りになっています。ちなみに、最も高い料理は、北京ダックです。4人前で350フラン。ここでは食べたことも見たこともありません。
さて、フランスのレストランはたいてい、ムニュー(Menu)というセットコースを用意しています。これだと、だいたい、前菜・主食・デザートというコースをお手頃な値段で済ませることができます。Chez Zhou にもムニューがあります。78フランのムニューは、前菜を3種類(春巻き、スープ、サラダ)から一皿、主食を3種類(牛肉カレーソース炒め、エビのチリソース煮、鴨のキクラゲソース煮)から一皿、これにチャーハン(広東風ご飯、riz a la cantonnaise と言います)あるいは白飯がつき、さらにデザートが一品つくので、まあ安上がりでしょう。また、エビ餃子、シュウマイなど四種類の蒸しものにチャーハンがつく、70フランの点心ムニューもあります。マダム Zhou に「南野のホームページを見て来た」というと、サービスがアップするかも知れません。
パリには日本料理屋もたくさんあります。旧オペラ座の近辺には、三越や高島屋などがあり、日本からの団体観光客向けの免税店などもあります。また、東京三菱銀行、ジュンク堂書店、クロネコヤマト、日通、HIS、メガネのミキなど、在留日本人向けのお店が集中しているのもこの界隈です。オペラ通り(Avenue de l'Opera)の少し東を走る小さい通りに、聖アンヌ通り(Rue Ste. Anne)というのがありますが、ここには東京三菱銀行や「フジイ・タエコ美容室」の他、数多くの日本料理屋が並んでいます。この辺りの日本料理店は、日本人が経営しているお店がほとんどです。ですから、味噌汁に中華スープ用のレンゲが放り込まれて出てくる、ということもありませんし、ご飯も日本米を使っています。もちろんこの地区以外にも、いろいろなところに日本料理屋があります。日本人がやっているところもあれば、中国人など、他のアジア人がやっているところもあります。アジア人経営の日本料理屋ですと、だいたい寿司・刺身・焼き鳥が定番メニューです。寿司・刺身・焼き鳥など、日本でもあまり食さなかった南野は、そういうわけであまりアジア人経営の日本料理屋が好きではありません。ところが、一軒、お気に入りのアジア系日本料理店があります。まずはこのお店から紹介させて下さい。
Restaurant japonais Totoya (21, rue St. Denis, パリ1区) →2011年12月現在、同じ場所に別なお店(日本料理)が入っています。
さて、なんといってもここでの南野のお気に入りは、とんかつ(58フラン)です。とんかつを出す日本料理店というのは、それまであまり知らなかったので、ここで発見したときは、本当にうれしかったです。南野はいつも、これにご飯(10フラン)をつけて、少し財布に余裕のある時は、鉄火巻き(35フラン)を頼みます。寿司は普通の味です。味噌汁(10フラン)は、あまりおいしいとは思わなかったので、いつも注文しません。その他、すき焼きはやや濃い味ですが、まずまずです。焼き肉はどうも肉がかたすぎる気がします。焼き餃子はいまいち。キムチはまずいと思います。酢の物は普通。蝶々夫人という名前の肉団子の揚げ物はおいしかったです。ムニューは、50フラン程度のものから、300フランもするようなものまで、いろいろです。日本的な飲み物としては、カルピス(なぜかカルピコと呼ばれています)やお茶、ビール、梅酒など。場所柄、いつも大勢のお客さんでにぎわっています。英語しか話さないお客さんもよく見かけます。「南野のホームページを見て来た」というと、お茶を無料にしてくれるかもしれません。
Restaurant japonais Miyoshi(11 rue Danielle Casanova, パリ1区、電話:01 42 86 80 80)旧オペラ座を背中にして、オペラ通りをルーヴルの方へ歩いていくと、「メガネのミキ」を過ぎてすぐ右側に、この、ダニエル・カザノヴァ通りがあります。小さな通りですが、モロッコ料理のレストランのネオンなどで、割合明るい通りですので、すぐわかるでしょう。「みよし」と看板が出ています。神戸出身の三好さんご一家が経営です。とても感じのよいお嬢さんがウエイトレスです。いわゆる「日本の普通の定食屋さん」にあるような料理もたくさんあるのが、パリでは貴重だと思います。もう少し安ければ、もっと頻繁に通えるのですが・・・。南野のお気に入りは、ミックスフライ定食(120フラン)です。とんかつ・メンチカツ・白身魚フライの他に、サラダ、小鉢、冷や奴、刺身一品、自家製漬け物、ご飯、味噌汁がつきます。メンチカツなんて、パリでは「みよし」でしか食べられないかも知れません。このほか120フランの定食として、和風ステーキ定食、和風ハンバーグ定食、鯖塩焼き定食、チキンカツ定食、エビフライ定食があります(添え物はミックスフライ定食と同じ)。単品では、出し巻き(45フラン)、まぐろ山かけ(40フラン)、とんかつ(65フラン)、しめさば(45フラン)などいろいろ。豆腐のたいたん(45フラン)はおすすめです。大根がたっぷり入っています。豪華なムニューは、小鉢、酢の物、鯖の塩焼きまたは鶏の照り焼き、刺身または天ぷら、ご飯、味噌汁、香のもの、の7品が揃って、170フランのものと220フランのものがあります。鍋コース(230フラン)は、すき焼き、しゃぶしゃぶ、寄せ鍋の3種類があり、要前日予約。お酒のボトルキープができるのも、いかにも日本的。平日は比較的空いているようです。
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